おまけ


「陽炎」のおまけ

最後の最後に逆転され…。


数日後、事件現場で会った時、彼女の指からその指輪は外されていた。
「あれ……あいつに取られちゃったんです。『他人から不用意に物を貰うな』って」

俺の視線に気付いた彼女は、そう気まずそうに苦笑する。
空になった右手で他の奴から現場の様子を聞いている、助手の背中を指差して。
振り返った男は弥子ちゃんに目を向けて人当たりの良い――しかし俺には
弱った獲物にとどめをさそうとする猫のように見える――笑みを浮かべた。
「先生、ちょっとこっちに来て頂けませんか?」
「あ、うん。じゃ、笹塚さん、本当すいませんでした」

ペコリと俺に頭を下げて、助手の元へ走って行く。
その時、偶然視界に入った白い左手の指で、鈍く光った銀色を、俺は何故か鮮明に覚えている。


――来年こそ勝てる事を祈ろう。
……一体何にかは俺だって知らないが。

とりあえず、説明不足が多すぎます。お前ら一体何処にいるんだよ!!とか。
そして笹塚さんが偽物……。
 本編とオマケの間に入るネウヤコ話もいつか書けたらなぁ、なんて思います。
相変わらず、微妙な内容でご免なさい。


date:2006.03.09



Text by 烏(karasu)