リレー小説


09年08月、未央さんの所で開催されてたチャットで、参加者の一人であるぽんちょさんと行ったリレー小説ですw
このたび、ぽんちょさんに許可を頂いたので出してきてみました。遅くなって済まないデスw
引っ張る側だった私が初めてだったので、色々至らない点ばかりで申し訳なかったです。お狐様最高ー!

狐退治なネウヤコ

(100) 烏 > ――今は昔、桂木のお山に野狐という子狐ありき。
(100) 烏 > その子狐、小熊の如し食欲で、近隣の村の畑をかく荒らし、人々を苦しめたり。故に、退治を依頼される男ありき。
(100) 烏 > 男、村の人々に礼の金子を貰い、山へと分け入る。村人が怖々と見送る背中で揺れるは、狐の尾を思わせる金の後ろ髪。
(100) 烏 > ――あの男も狐ではないか、そんな言葉が口々に漏れる。当人は気にした様子もなく、ただ、鼻で笑うばかりである。
(112) ぽんちょ > 一目見れば忘れることのない恐ろしいほどの美貌、まるで妖怪か神の化身かと思わせる。

(100) 烏 > 「……全く、いつの世も人というのは愚かだな、雑多な情報に恐れを抱く」
(100) 烏 > だが――と、男はため息混じりにこうも続ける。
「だからこそ、食いでがあるというものだがな」

(112) ぽんちょ > 「はてさて、此度の依頼は我輩を満足させてくれるのやら・・。」そっとため息を吐いた。
(100) 烏 > ――その僅かな杞憂をよそに、程なくして、男はその狐を見つけることが出来た。ぐるぐると鳴る腹を抱え、耳を伏せて蹲っていたのだ。
(112) ぽんちょ > 「・・・、なんだこのちいちくりんないきものは。おい貴様
(100) 烏 > ……起きろ、家畜にも劣る獣が。貴様、はっきり言ってピンチだぞ」
「ふぇ」
(112) ぽんちょ > その狐は琥珀の瞳をとろんとあけ我輩の方をみるときょとん、として「美味しそうな人だね!」と言った。
(100) 烏 > (――コレが、怖いだと?)
 村人の己に対する態度から十分予想はしていたが……男は予想以上に拍子抜けすることとなった。
(112) ぽんちょ > 「貴様・・、腹だけでなく頭も空なのだな。自分の置かれた立場を理解しておらんとは。」
(100) 烏 > ――人は、己の範疇にない生き物を必要以上に恐れる。そして、その恐れが目を曇らせ、相手を必要以上の驚異と判断するのである。
(100) 烏 > 「しかし、それにしても……」
 男はため息と共に、未だ寝ぼける娘の顎を草履の先でしゃくる。
(100) 烏 > 「その耳は飾りか? 我が輩、このままでは殺されると言ったのだぞ?」
(112) ぽんちょ > 「あなたは悪い人にみえないんだもの。ちがう?」
(100) 烏 > (……ほぉう)
 その琥珀色の目が唐突に焦点を結んで己を射るのに、男は感嘆のため息を漏らした。
ならば――話は早いというもの。策を持ちかけるまでである。
(100) 烏 > 「さぁ、ならば話は早い。このまま礼金を持ち出して、近頃、里で流行の駆け落ちとしゃれ込んでみようではないか」
 男の大げさな身振りに狐は胡散臭そうに耳を伏せた。
(112) ぽんちょ > 「駆け落ちってなに?おいしいの?」なにも知らない子狐はそう答えた。
(100) 烏 > 「あぁ、馬鹿とまともに話をしようとした我が輩が馬鹿であった! こう言えば分かるか? 故郷を棄てて我が輩と来ないと明日には狐鍋だぞ馬鹿!」
「馬鹿って言うなー!」
(100) 烏 > 「それは……ちょっとな……。だって、この山にはお母さんが……」
「……養えなくなったから、その年で独り立ちしたのだろう?」
「うっ…!」
(112) ぽんちょ > 「じゃあ、ネウロが私を養ってくれるっていうの!?初めて会った相手なのに・・。」
(100) 烏 > 「あぁ、貴様が我が輩の調服を手伝って、馬車馬のようにしっかり働くというのならな、白飯くらいは渡してやろうではないか! 良い主人だろう? さぁ、黙って付いて来い! ……あぁ、しっぽは消せよ? 馬鹿でも分かるだろう?」
(112) ぽんちょ > 「白米・・・うんっ!!行く行く!でも私凄い食べるよ?ネウロ大丈夫なの・・?」弥子は心配そうに我輩を見つめた
(100) 烏 > 「あぁ――我が輩も、元を正せば似たようなモノだからなぁ……」
(100) 烏 > ――そうして男は有無を言わず、子狐をひょいと担ぎ上げ、軽々と木々を駆け上がり始めた。その早さといえば疾風の如し。たちまち山を駆け下りる。
(100) 烏 > 「あっ、あんたってあやかしだったの?」
「――いや、違う。正確には、貴様のような獣の腹から生まれた」
(100) 烏 > 「――母が狐だったのだ。まぁ、貴様よりも幾分賢く、利発で美しい女であったが……」
「……そこはいいから」
(100) 烏 > 「おかげでこの髪の色と目だ。――まぁ、開国によって異人があふれたおかげで、今はいかとも言い訳が立つが……」
(100) 烏 > 「故に、どんなに馬鹿で愚鈍で大食いであっても、狐というものを放っておけない。まぁ、趣味のようなものだ」
「……趣味で浚われてるの? 私…」
(112) ぽんちょ > 「まあ、よいではないか。細かいことは」そう言うとネウロは楽しそうに目を細めた。

(100) 烏 > その目が飴のように澄んでいたことで、弥子は何も言えなくなってしまった。 ――あぁ、哀れ。そこでこの子狐の運命は決まってしまったのだ! これが恋だと気づけぬほど、狐は幼くか弱かった!
(112) ぽんちょ > いちど嵌ったら抜け出せない恋という底なし沼に哀れな子狐は嵌ってしまったのだった・・・。もう戻ることはーできない・・。
(100) 烏 > その後、金色の髪の、娘と青年とは度々色々な場所で目撃されることとなる。帝都最後の陰陽師として!

最初は「蟲師」風の笹塚さんの絵から触発されて、モノノ怪の薬売りさんの語りみたいな文章から始まり、
最後は、碌に読んだ事ない癖に「太宰テイストでまとめちゃえー!」 という、深夜だからの暴走ぶりでしたw


date:2009.08.?



Text by 烏(karasu)