法律的な制裁は不可能。
データ内での解決も無理だ。
正面きって戦うには相手が少しばかり強大すぎる。
弥子はそう思う。そう思うが――しかし。
「……何を豆鉄砲喰らった鳩のような顔をしているのだ」
ネウロはようやくヤコを見て、真っ直ぐな。
捻くれていない。
真っ直ぐな、ただ純粋に謎を追い求める時の、真摯な表情で。
「畏れることはないぞ、ヤコ。胸を張れ。怯えるな。貴様の夫は誰だ」
力強く――――
「このネウロだ。魔人だ。何がHAL――電人だ。成育媒体をネットに変えただけの下等生物でしかない。
どれだけ偉ぶろうとも下が上を見下すことはできん……」
魔人らしく、夫らしく、威風堂々と宣言するのだ。
「――片腹痛い。何を躊躇しているのだ。謎が有るなら喰いつくせばいいのだ。個人であろうが国家であろうが関係ない。邪魔がいるなら排除しろ。
間抜けがいるなら消滅させればいい。何をそんなに諦めているのだ」
「ネウロ……」
なんだろう。
錯覚かもしれないけれど。
その時のネウロが弥子には、本当に威厳ある姿に見えたのだ。
ネウロの髪が一房ゆらゆらとゆれている。
「宴の始末だ……。奴隷ども――電人HALと戦争を始めるぞ……!」
アニメ化と聞いて、過去の出来心をほじくり返して(略)
原本が手元にないまま言うのもナンですが、違和感の無さにびっくりです。