テーマ:俗、さよなら脳噛先生
主な登場人物:
- 脳噛ネウロ…私立高校のクラス担任。性格に難あり。
- 桂木弥子…脳噛の担当するクラスの少女。超天然気質。脳噛とのつきあいは長い様子。
- サイ…脳噛の担当するクラスの少年。見た目は少年、なのに戸籍は女子。
- テラ…ネウロと同学年のクラスを受け持つ担任教師。
さよなら絶望先生(久米田康治)との、まさかのWパロその2。
両方の原作を丸っと無視しながら、前回から無駄につづいております。
『死にたがりの少女』
――コンコン。
ネ「はいっ。……あぁ、桂木さんですか。一体どうしたんですか? こんな遅い時間に」
ヤ「ええと、先生にちょっと……相談したい事が有って……」
ネ「ふう。……仕方ないですね。廊下じゃあ、冷えるでしょう? お入りなさい」
ヤ「はいっ……」
ネ「生憎、ココの宿直室にはろくな備えがないんですよ。
あぁ、飲み物は……紅茶でいいですか?」
弥「あ、大丈夫です」
ネ「……で、話というのは一体何ですか?
言っておきますが、先生は貴女が思う程暇じゃあないんです。
話す事を話したら、とっとと帰って下さいね」
弥「ッ……先生っ!!」
ネ「おっと。……何ですか? 僕は、お湯を扱ってる人間の背中に
飛び付いて来るように、自分の教え子をしつけた覚えは――」
弥「お願いっ先生。――私と一緒に……死んで?」
『最低の殺し文句』
※微グロ注意
ネ「……貴様が今、我が輩の首に押し当てている、この鉈で首をかっ切って……か?」
ヤ「うん……。あのね先生、私、疲れちゃったんです。先生の期待に応える事にも……生きる、ことにも」
ネ「だから、生きる事を完全に放棄し、さっさと死にたい、という訳か?」
ヤ「はい……でも、一人で死んじゃうのは怖いから……」
ネ「一人に責任の来ない、心中にして……か?」
ヤ「違うよ! ……先生なら、いいなって思ったから。
先生は、初めて会った時からずっと私の生きる希望だったから……。だから、一緒に……」
ネ「フン、自分は元より死ぬつもりが無いに『心中』とは、滑稽にも程が有るな。 ……そういえば君は、元々国語が苦手でしたっけ。――ねぇ? サイ君」
ヤ「えっ……先生? 一体何言って……」
ネ「フン、目的上の建前とは言えどもう少し、
マシな『殺し文句』は吐けないの……か、ッ!」
ヤ「ひっ……痛いっ!! ちょっ、先生っ! 手っ、てぇ刃先、貫通して……!
いたあっ!! やめてせんせ……いたい、よぅ」
ネ「……貴様、演技とはいえ、その姿と声で鳴くな。
――もっと酷い事がしたくて堪らなくなる」
ヤ「……ちぇっ、や−だよ! これ以上痛いのッ!」
ネ「……まさか、魔人を殺めようとする装備が鉈とはな。――全く、僕も随分と舐められた物ですね」
ヤ「え−? だってさ−下手にチェーンソーなんて持ち出したら、あんた簡単に気付いちゃうだろ? 学校の事務室程度の装備じゃ、こんなモンだって!」
ネ「……勢いで乗り込んで来るとは、小賢しく周到な貴様にしては珍しい事だな。――で、何が有った?」
ヤ「えっ?」
ネ「考えるに……あの忌ま忌ましい父親か、貴様の側近らしきあの女と一悶着有った、という所か。
……ふむ、この無計画さから見て、後者だろうな。大方、ブレーンで有るあの女に愛想を尽かされて、その突発的な怒りに駆られるまま単体で乗り込んで来た、という所ではないか?」
ヤ「し……知ったような口聞かないでよっ!? アイは……アイはっ……!!」
ネ「叫ぶのも喚くのも貴様の勝手だが……。一々その姿でされては叶わんな――」
ヤ「が……っ!?」
ネ「まだここに留まる気なら――戻れ。今すぐに、だ」
サ「……ちぇっ。いいよっ、もう、帰る」
『もしも本当に――』
弥「ただいま―!」
ネ「……遅い。正門が施錠される前に帰って来いと、あれほど言っただろうに」
弥「うっ……ごめんってば!! 夕飯、今から支度するからっ。今日はおでんにしますよ―っと」
ネ「フン、勝手にしろ」
弥「うん、勝手にする。どうせ全部私が食べるんだし。……あぁ、そういえばさっき、サイに会ったよ」
ネ「ほう。何か……話はしたか?」
弥「別に。スーパーでアイさんに会ったって話と……あ、アイさんがカレーの材料買ってたって言ったら、凄く喜んでた」
ネ「……そうか」
弥「うんっ! ……あれ? せんせ、台所の床、何かケチャップみたいなの零れて……って、これ、血……!」
ネ「フン。気にするな、我が輩のモノではない」
弥「そ、そういう問題じゃないでしょ!? 誰かケガしたんなら探して治療しないと……!」
ネ「むぅ、気にするな、と、言っているだろうが」
弥「おわっ!? ……先生っ、危ないから包丁使ってる時に背中から抱き着かないで下さいってば!
絶対無いとは思うけど、もしも先生までケガしたら――」
ネ「……ねぇ桂木さん、もし、僕と一緒に死のうと言ったら……どうしますか?」
弥「え、っ――」
『――死ぬ時は最高の殺し文句と』
弥「あ、あはは、やだなぁ先生ったらッ!」
ネ「桂木、さん?」
弥「も−、……そ−ゆ−冗談は、少しでも絶望した事のある人じゃなきゃ使っちゃ駄目なんですからね!」
ネ「絶、望……?」
弥「だって先生ってばさ、絶対したこと無いでしょ? 生きるのに絶望したりとか、立ち直れない位に凹んだりとか!」
ネ「チッ。随分と簡単にバレたものだな……」
弥「そりゃあずっと見てたら分かるって! 中学校と合わせたら、一体何年付き合ってると思ってるのさ」
ネ「そうか。……では」
弥「ん?」
ネ「たまには教師らしく、一つ、貴様に説教でも垂れてやろうか。
……覚えておけ、ヤコ。一時の絶望に身を任せて死ぬ事は、自身の持つ可能性と心中する事と同意だ」
弥「……うん、知ってるよ。そんなの」
ネ「そうか、ならば……良い」
弥「うん。……あっ。でも――」
ネ「ム?」
弥「もし、先生が生きるのに辛くなったり苦しくなったり時は、私がちゃんと、落ち込み方と立ち直り方を教えてあげるねっ!」
ネ「! あぁ……そうですね、その時は……不本意ですが多分、いつものように、お願いする事になると思います」
弥「うんっ、任せといて!! ……いつか、先生の知らない感情、一杯教えてあげるんだから……って!?」
ネ「フハハハ、随分と生意気に育ったものだな」
弥「ちょっ!? せんせ、包丁近い!! 俎に押しつけないで!
包丁に当たる、顔切れるッ!?」
ネ「――まぁ、その前に仕込む事は沢山有る訳だがな。ふむ。……この場所、今の雰囲気共に悪くないが、いかんせんリスクが大きすぎる」
弥「んんん! せんせ、今何か言った?」
ネ「いえ、独り言ですよ。――そうだ、桂木さん! この週末、一緒に修学旅行の下見でも行きませんか?」
弥「え……?」
以降、延々ギャグ。
『そうだ、K都に行こう!』
ネ「……で、何故に貴様がここに居る?」
テ「いやいやいや!! 先生なんだから当たり前でしょ! 同じ学年の担任なんだから、候補地だって同じに決まってるよ。
それに……ボクからしたら寧ろ、彼女がここに居る事のが、『何で』なんだけど」
弥「あ……あはは…っ」
ネ「あぁ、桂木さんは僕が連れて来たんですよ! 折角の生徒の為の行事なんだから、一生徒の意見も聞くべきかと思いまして」
弥「……行くか行かないかの意見は求められなかったけどね……」
テ「何か言った?」
弥「いえ……ぐふっ!」
ネ「いえいえ、何でもありません。……では、早速宿に向かいますか桂木さん」
テ「あれ……? キミ達、観光地は見て回らないの? 舞台とか寺とかそんな感じの。皆で行った方が楽しそうじゃない?」
弥「いや……私もそう言ったんですけど、先生が……」
ネ「コレはあくまで下見なんですから、じっくり見る必要は無いですよ。あまりじっくり構えると、本番が面白くなくなりますしね。
……それに、コチラの下見はとっくに終了しているしな」
テ「……え?」
弥「せんせ、何か言った?」
ネ「いえ、では行きましょうか桂木さん」
弥「あ……はいっ! じゃあね、テラ先生」
テ「桂木さんっ!? い……行っちゃダメっ!!」
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テラ先生は以外と常識人。
『フラグが立った日』
ネ「ム、」
弥「……え? どうしたんですか、テラ先生」
テ「いや……。えっと、今世紀最大の不祥事の予感に、思わず声が出たというか何というか……」
ネ「チッ。……特に用が無いんだったら、僕らはもう行きますが」
テ「あわわ、ちょ、ちょっと待って! そうだ!! か、桂木さんっ!!」
弥「はい?」
テ「良かったら、一緒にご飯食べない? ほら、桂木さんって、お店とか詳しいでしょ? ボク、そういうの余り知らないから……その…」
弥「いいですよ! ……えへへ。こんな事も有ろうかと、行きたい食べ物屋さん、地図に書き込んできたんです!」
テ「本当に!? あぁ……良かったぁ……」
弥「も−、先生ったらオーバーなんだからっ! で、どんな所がいいですか?」
テ「そ−だなぁ……。あ、『甘味所』っていうの、一度行ってみたかったんだ―」
弥「あ、じゃあ、今から行ってみますか? ちょうどこの近くにお店有るみたいですよ」
テ「うんっ! 行くっ!!」
弥「あっ、あと、ここのお店も中々……」
テ「へぇ−。あっ、ねぇ桂木さんっ! ココって……」
弥「わぁ、先生ってば流石っ! そこはね……」
ネ「…………」
弥「じゃあ、行き先も決まったし、早速行きましょうか!!」
テ「うん! ……ふぅ。コレで、連帯責任の失業フラグは、どうにか回避出来たかなぁ?」
ネ「ククク……。まぁ、その代わりに見事な死亡フラグが立った訳だがな」
テ「え……えぇっ!?」
弥「ほら二人とも−! 早く、早くっ!!」
ネ「はぁ−いv」
テ「ッ! ……ボク、無事に家に帰れるのかなぁ?」
『先生は苦労人』
※軽い下ネタ注意。
弥「テラ先生っ、見て見て!」
テ「わぁ−、コレって和菓子? 可愛いね。女の子ってこういうの好きそうだもんね」
弥「はいっ。……でも」
テ「ん?」
弥「好きじゃなくて……『大好き』なんですよ!」
テ「……え…っ? ……あっ、あ−、そう……なんだ」
弥「……先生? どうかしました? 何か、さっきから、あんまりり元気ないような……」
テ「ううん! な、何でもないよ!!」
弥「ならいいです。じゃ、私、向こうの方も見て来ますね!」
テ「あっ、うん。………」
ネ「で。……貴様は、何を一人で『きゅーん』となっているのだ?」
テ「うわっ!? ……びっくりさせないで下さいよ脳噛先生っ。一体何の用ですか?」
ネ「いや……忠告の一つでもしておこうかと思ってな」
テ「え−っ、何さぁ?」
ネ「……アレに惚れると苦労するぞ? ――見ての通り、家畜のように鈍いからな」
テ「ふうぅ−ん? ねぇ、ソレって……キミの経験談?」
ネ「……ム」
弥「先生っ! 見て見て、コレ凄いでしょ?」
テ「ちょっ、桂木さんっ、どうしたのソレっ!?」
弥「んぐっ。そこのお店で一斗缶で水飴売っててね。つい……うぁ、指までべたべたになっちゃったや、勿体ないっ。あぐっ。んぐっ、ちゅ」
テ「え……あっ……」
ネ「……コラコラ、桂木さんっ!」
ゴンッ!
弥「痛ッ!? せんせ、一斗缶で頭叩かないでよ……!」
ネ「ほら、さっさと口の周りを拭いて。あと、割り箸をわざわざ斜めに構えて、一々音を立てて意地汚く吸い立てるのはやめなさいね」
弥「う……。はぁい」
テ「キミって、ホントに……苦労、してるんだね……」
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弥「この大きさになると……んちゅっ。おはしじゃ効率悪いんで、いっそソコのお店で麺棒でも買って突っ込もうかとも思ったんですけど、んぶっ。流石にソレは……んっ、んんんっ、ぷはっ。お行儀悪いかなぁって」
ネ「ム、正解のような不正解のような……迷うな」
テ「迷う余地なくアウトだって! ……性的な意味で」
『問題発言に揺れる』
弥「えへへ、まさか三人で泊まる事になるとは思いませんでしたね!」
ネ「本当にな……。まさか、財布ごと鞄をむしり取られる人間がいるとは、我が輩ついぞ知らなかったぞ」
テ「……ボクだってまさか、キミ達が一部屋しか取ってなかったとは思わなかったよ。……本当、最初に呼び止めて正解だったよ…」
弥「まぁまぁ! 二人ともその辺にして、もう寝ましょう? 明日は早くに帰らなきゃいけないんだし」
テ「あ……うん。しかも、次の日もう学校だもんね」
ネ「ふう。……疲れた等という理由で学校を休むなよ?」
弥「ハイハイっ! 分かってるってば! じゃあ、電気消しますよ―」
テ「あ、桂木さんが真ん中に寝るんだ……」
弥「えへへ、『川の字』っての、一回やってみたかったんですよ!」
ネ「……フン」
弥「……えへへっ」
テ「ん? どうしたの、桂木さん」
弥「何か、お父さんとお兄さんが一気に出来たみたいだなぁ−って」
ネ「………」
テ「………」
弥「あっ……、いっ、今のっ、忘れて下さいっ!! そっ、それじゃあお休みなさいっ!」
ネ「(どっちだ……!)」
テ「(一体どっちが『お父さん』なんだ……?)」
『おまけの午睡』
テ「先生ー、脳噛先生。あのさ、今朝の授業に桂木さんが来てなかったんだけどさ、担任の君には欠席の連絡――」
ネ「――スゥ」
弥「……くぅ」
テ「あ、こんな所にいたんだ……。あ―あ、二人して寝てるよ。見た感じ、無理矢理抱き枕にされた桂木さんが、逃げようとして力尽きた感じかな?
……下手に起こしちゃ(主に、ボクと桂木さんが)可愛そうだし、ココは様子見て――」
ネ「……ム、んっ」
弥「う、んんっ……」
テ「あ……無理矢理桂木さんを抱き込んだ上に、コッチに背中向けたや。……この人、そんなにボクから桂木さんを遠ざけたいのかな……」
ネ「………」
弥「……ん、ぅっ。っ、やぁ……っ」
テ「ちょっとっ、死角作って一体何してんの!? ていうか薄々感づいてたけど、キミは絶対起きてるでしょ!?」
ネ「……チッ」
弥「……ふぇっ?」
date:2008.11.07